”値段”と”価値”
当店ではトリミングにしても、ホテルにしても。
”飼い主様が安心して頼れる、任せられる場所”
”愛犬、愛猫が安心しくつろげる(落ち着ける)楽しい場所”
を目指している。それがコンセプトの一つでもある。
度々言われるが当店は市内の他店様よりベース料金が高い。それはもちろん自負もしている。
ただその分、真っ当に。真面目に。仕事をしているし、
お客様や愛犬、愛猫と向き合う時間も大切にしている。
僕は一時期この業界が嫌いになりすぎてお店を畳もうとすら思ったことがある。
だが本気でお店を畳もうとした時に、今大切にしているお客様、当店を求めてきてくださるお客様を放っておくことができなかった。
それと同時に仮にお店を畳んだとして残念ながら安心して紹介できるお店が近辺にはない。
それほどに真面目に勉強し、真っ当な仕事をしているという自負がある。
それほどにまだまだ大多数のプロと呼ばれる者たちがあまりにも相対する動物のことを理解していないし、
間違った情報を鵜呑みにし流布していることが多々ある。
便は健康のバロメーターであるが、とあるプロは「愛犬に合うフードは便が小さく硬い」と言っていたが、それはそもそも食物繊維が少ないからである。それがいいという答えには全くなっていない。
涙やけが治る、目やにが減るなどの謳い文句で販売しているメーカー様やお店様があるが、それらもおかしな話だ。
それがその子に合うか、合わないかだ。
万能なものなんてないし、どの子にも適応するものなんてない。
ましてやその表現は身体への作用を示唆しているのだから本来であれば薬として販売されているべきだ。
嫌いになった部分のほとんどは今もなお改善されていないことが多いし、色濃く残りがちである。
本来であれば、健全な運営をするためには一人あたり時間単価6,000円前後稼がなければいけないだろう。
人間の美容室で1,000円カットなる美容室がある。今は確か値上げして1,350円。しかもこれは10分あたりでの金額だ。
時間単価にすれば8,100円。
この類のお店は基本”カット”だけなのだ。だから整髪剤はつけて行けない。
シャンプーはしないし、着座したらその(スペース)場だけで完結するようにできている。
移動する時間すら削りに削って簡潔にできている。
我々のトリミングという仕事だけでは残念ながら時間単価6,000円前後には到底及ばない。
物販やホテルサービスで補っているのが現状だ。
東京や大阪だと近年時間単価6,000円以上のお店がある程度の数できてきている。ついで博多あたりだろうか。
田舎に行けば行くほどやはりそれから外れてくる。
うちの値段でさえもやはり地元では高い方ではあるし、理解が得られにくように思う。
(理解や認識のずれ故でもあるので、そこらへんは作戦ネリネリしてはいる…。)
人間の場合
カットやドライの部分:髪の毛だけ
髪の本数:およそ10万本
カット代:平均3600円前後
所要時間:30〜60分
犬の場合
カットやドライの部分:全身
その他:爪切り、肛門腺絞り、足裏の毛の処理etc…。
毛の本数:400〜600万本 ※諸説あり。また犬種や大きさなどで大きく変わる。
カット代:平均5000円前後
所要時間:120分〜 ※犬種や大きさなどで大きく変わる。
前回の価格改定をした際に定期利用の頭数が少ない犬種からある程度適正価格まで近づけた。
が、時間単価にすれば2,500〜4,000円くらいの犬種もある。
じゃあなんで他のお店は成り立っているの?と思うかもしれない。
接客時間を削って。オプションで。などして、とにかく頭数をこなしたり、単価を上げている。
あと基本的に社員ではなくアルバイト契約が多いので給料も少ないところが多い。
(僕が専門2年の時に拝見したとある求人票は週5〜6日フルタイムで働いて月7万円なんていう悍ましいのがあった。そんな堂々と労基違反を曝け出すなんて…とも思っていたが、実習に行った同期曰くそこのオーナーが「働きながらいろんなこと学べて月7万円なんていい環境でしょ」くらいだったらしい…。)
当店ではしっかり一人一人のお客様と愛犬、愛猫に寄り添いたいので接客時間を削るという選択肢はそもそもない。
プードルで言えば、基本的に所要時間180分9,000円〜だ。時間単価にすれば3,000円である。
キャンセル料を設定したのもこのためだ。
所要時間も長いし、時間単価も低い。当日キャンセルが1件出るだけでサロンとしては大きな売上を失い、時間を持て余すことになる。
オプションで稼げばいいと言われるかもしれない。
だが当店では無闇矢鱈にオプションメニューは作らないようにしている。
全てのサービスにおいて「果たしてそれは本当にワンちゃん、ネコちゃんに必要なサービスなのか?」というのを調べ、
慎重に協議した上で、サービスとしてするか否かを決めている。
そのため「これはどんな子に対しても必要だろう」と思った「クレンジング、保湿、乳液」などはオプションとしてではなくサービスに盛り込んだ形で提供している。
以前、歯磨きも組み込んでいたが今はその限りではない。必要だとは思うが、トリミングの時だけ行っても意味がない。常日頃のおうちでのケアが必要だ。それにいくら歯磨きとはいえ口の中を触られる行為に対してストレスが強い子がやはり多いし、裏側まで綺麗にしようとして無理をすると顎の骨が折れるリスクがある。そういうことまで考えて差し引きして盛り込まない決断をした。
ただ「こういうオプションは一部にとっては必要なものだろう」というものはオプションメニューとして配置している。
裏を返せば、当店がサービスとして「必要ない」と判断したものはサービスとして提供しない。
それは本当にペットに使用して安心、安全と言えるのか?何を根拠にそのサービスがペットに必要であるか判断がイマイチできない(グレーな)ものに関しては見送っている。
泥パックを”スキンケア”として提供しているお店様もあると伺っています。一時期人間の美容でも問題になっていましたがスクラブによる肌への摩擦や刺激による炎症があるので、むしろ”スキンケア”とは真逆である。これに関しては多数論文が出ているし、医療機関が警鐘も鳴らしている。
ハーブパックで言えば、虫除け等には効果・期待を持てますが、近年ではアレルギーの子が非常に多いため使用するにあたり細心の注意が必要ですし、基本的にメーカー様が事前のパッチテストを推奨している。が、とにかく頭数をこなすようなお店であればパッチテストする時間など確保しないだろう…。
オゾンなんちゃらも、オゾンであれば殺菌効果があるわけだがそんなことしたら皮膚に必要な常在菌すら殺すことになる。実際のところオゾンと謳っておいてオゾンが発生してない商品は多々ある。
炭酸泉、マイクロバブルなんかもいい例だ。よくイラスト調で毛穴に泡が入り込んで汚れを掻き出してくれるみたいな説明があるのだが、もし仮にあのイラスト通りのことが起きていたら毛穴(毛球)に泡が侵入した時点でそこには神経が通っているから痛みを感じるし、汚れと共に毛が抜け落ちるはずだ。
近年騒がれている無麻酔歯石除去もそうだ。最近はまた名称を変えてカモフラージュしていることも多々ある。つい先日見たのは”歯垢がポロッと取れる”という謳い文句で始まっていた画像付き広告。その画像を見てびっくりしたが「あんたらが”歯垢”と言ってるそれはついこの間まで”歯石”と呼んでたじゃない…。」という画像だった。こちらは語り出すとキリがないくらい話が長くなるので、近いうちにこの題材だけでブログを書くことにする。是非ご覧いただければ嬉しいな…。少しでも被害に遭う人が減るといい…。
今上げたのはほんの一例だが、これだけでも真っ当なプロ、真っ当な商品、真っ当なサービスが少ないのがわかる。
建築基準法第48条に照らし合わせ、用途地域による用途制限を確認していないお店も実のところは多いんじゃないだろうか?
建築基準法や都市計画法に違反しているところもあるとは思っている。
幸い僕の身内はそういう仕事をしているのでそこら辺はクリアしている。
この前の逮捕された繁殖屋が僕と同じ苗字、同じ業界ということもあって「身内じゃないのか?」と変な噂を流されお客様が一部離れたこともあって実はずっと根に持っている。いい機会なのでここで少しだけ弁明しておくとする。
そもそも松本にどれだけ”Momose”がいると思っているんだ…。そこら中にいる。溢れかえってる。
一時期は松本で一番多い苗字だったらしい。(知らなかった…)
以前はスキンケアやフードによる改善例など上げていた時期もある。
でもそれらはビフォーアフターの画像や、文の表現によって薬機法、景品表示法、獣医師法に抵触する恐れがある。
だから上げなくなった。楽しみにしていた方に関しては申し訳ないとは思うが、ちゃんと真っ当に生きたいので理解してくれると嬉しい。
当店でメインシャンプーとして扱っているシャンプーがある。
irodo:REとBOKUMO.である。
これらは共通してSIPPO-HAPPOという会社が手がけた商品だ。
この業界で、僕が知り得る”真っ当な”会社の数少ない一つだ。
irodo:REはある卸サイトでも手に入るが取り扱うには7つの誓いを守らなければならない。
⒈無麻酔歯石除去を実施/推奨しない
⒉irodo:REをネット販売しない
⒊科学的根拠に基づいて接客する努力をする
⒋接客時に不確かな時は即答せず、調べてからお答えする
⒌地域の動物やお客様のために学び続ける
⒍多店舗や動物病院の悪口を言わない ※”批判”と”非難”は違うよ(ボソっ)
⒎どんなペットにも使える万能な商品はないと理解している
これらが守れるお店がこの商品を扱える。
取扱申請の際にはHPやSNSのリーガルチェックもきっちり行われる。
BOKUMO.はこれに加え条件が更に厳しくなる。
BOKUMO.は卸サイトとは一切契約していない。
BOKUMO.は取扱申請時に口頭テストが行われる。それにより”一定レベル以上のスキンケアの知識を有する”と認めてもらえれば取扱が可能になる。
動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護管理法)もR2年6月に改正されているが遵守できているお店はいったいいくつあるだろうか?
わかりやすくまとめられたサイトがあるので貼り付けます。興味のある方や、お時間のある方は是非一読してみてほしい。
https://www.doubutukikin.or.jp/legal/zoophily/
ひとまず、僕らのようなサロンやホテルという仕事は第一種動物取扱業の保管という区分になるのでそこを見てほしい。
施設として空調設備、温度計、湿度計は必須。
それに加え、ケージを使い預かる場合にはケージの大きさが数値化され、材質の指定もあります。
物によっては必要な措置さえ講じれば該当しない物でも使える場合がある。
例えばサロンだけでいえば施術時間以外で預かる時間は少ない場合はケージより狭いクレートなどの使用が認められる場合もありますが、ホテルはそうもいきません。
長期間の預かり(飼養)の場合、運動スペースの確保と3時間以上の運動の実施が必須です。
”長期間”ってどのくらいと思うのですがこれは管轄の保健所によって解釈が異なるのでそれぞれ問い合わせが必要ですが、松本保健所の解答としては”1週間以上の預かりは長期”という扱いらしいです。
当店は法改正前から余程のことが無い限りアウトにならないだろうという数値でお部屋の広さを確保し、増築のタイミングでホテルスペースを作り直していますし、フリースペース(運動スペース)も設けました。
またトレーニングの勉強をする過程で”運動”の重要性はよく勉強しましたので、保健所の定める長期だろうと、長期でなかろうとホテル料金は変わりませんので、1日3時間以上の運動時間を設けています。目安としては朝晩トータルで1時間以上の散歩、残りをフリースペースといった形です。
もちろんジャックラッセルやボーダーコリーなど筋肉質で運動量のある犬種に関しては散歩の時間を増やしたりします。
逆に要介護、老犬などはお散歩時間をその子それぞれに合わせて設定し、フリースペースでマイペースに過ごしてもらいます。
あくまでこの比率はその子それぞれに合わせたケースバイケースなので変動はありますが3時間以上確保しています。
またフリースペースで遊ばせている際にも事故防止のためスタッフを配置していますが、そうすると必然的にトリミングの枠は減ります。
確かに金額だけ見れば高いかもしれませんが、ここまでのサービスの背景を見た際に果たして高いと言い切れるでしょうか?
個人的にはこれでも安いくらいだと思っています。ましてや夜間も人がいる状態ですから。
1日最大5組と、以前のホテル環境より預かる頭数を少なくしています。このシステム上、これが限度だと思うからです。
よくホテルのお問い合わせをいただくのですが、お問合せ前に是非HPの料金表と注意書きくらいは目を通してからご連絡いただきたいです。数分で済むことなんです。
今日は何故だかご新規様で2組、2週間預けたいとお問合せいただきました。
1組は中型犬、今日から。もう1組は小型犬2頭、明後日から。
およそ30万円と50万円くらいの金額です。
1組には「そんな取るんですね…」
もう1組の場合は金額伝える前にワクチンのお話をしたら「証明書の提示はできない」と言われ、サービス利用においてそのお客様以外の犬猫をもちろん預かるので感染対策のためには必須とさせていただいてますが、その主をお伝えしたところ、話している最中に「わかりましたー。もういいでーす」と一方的に切られました。
どちらも事前にある程度HPで確認してもらえれば、こちらが心無い一言を浴びて傷つくこともなければ、作業の手が止まることも少なく済みますし、相手方にとっても無駄なやりとりをせずに済むのに…。
ましてや初見で連泊以上は本当にお勧めしませんし、可能であればこちらとしてもお受けしたくありません。
ストレスもかかるし、体調崩す可能性もあるし、ご飯食べない可能性もあるし、こちらも知らない子を預かるのは怖いですし。
定期利用のお客様と、そうで無いお客様で料金を分けているのもそのためです。
一定のリスクを請け負う代わりに金額が高くなってます。
以前は一見様はお受けしていませんでしたが「泊まり込みで見てもらえるところが全然無いからどうしてもお願いしたい」というお声が多数ある中で、申し訳なさに潰されそうになりながらお断りしていました。
そのお声にお応えするために価格帯を分けて設定した背景もあります。
以前こちらのブログでも通づることを書いてますのでご参考までに…。
また特にこのコロナ禍というもので人の生活も、もちろんそこに付随するペットの生活も大きく変わりました。
特にテレワークがあった家庭の子は、徐々に元の生活に戻るにつれ分離不安のような問題が現れるようになる子がいました。
それがエスカレートし壁を掘って血だらけになりながら穴を開けたというお話も伺っています。
1ヶ月に1回などこちらも定期的に様子を見れているとある程度安心できるのですが、期間が開けば開くほどその間のその子の成長を知りませんし、記憶の消失や、記憶とはかけ離れたその子の状態を見ることもあるのが心苦しいです。
分離不安の子は結局、久々にホテルを利用したのはいいもののお部屋ではずっと吠えてるし、ご飯も食べれなくなっていて、ご家族様が無理だったので利用を中止し身内の方にお迎えに来ていただきました。
本来であれば今回の改正内容の統一もベースがあって、あとは自治体が…とかではなく、日本全体としての統一が必要だとも思っています。
我々の仕事は自治体に書類を提出し認可をいただき営業できるようになるわけですが、正直杜撰な管理だなとしか言えません。
今回の数値化されたものも保健所の職員の方が視察に来ても流し見程度で終わりますし、「これ何に使いますか?」、「このケージどのくらいの大きさの子まで使用する予定ですか?」なんて聞かれもしますが正直口ではなんとでも言えます。
長期お預かり、またそれに伴う3時間以上の運動時間の確保も、台帳をつけたり管理する必要もないんです。
何のための法改正なのか?
それでは逮捕された繁殖やのような事件がなくなるわけないですし、何の抑止力にもなってない。
いくらでもごまかせて、バレなければいいんだから。
そういう明確な数値や決まりを作ったなら、認可出してる以上はきっちりと管理してほしいし、必要であればちゃんと取り締まってほしい。これではただの努力義務止まりだ。
ワクチンや狂犬病も本来であれば利用前に確認しなければならない。
それも確認しなかったり、打たなくていいというプロがいる。
そこで感染症をもらってきたらどう対処するつもりなんだろうか?
真面目に真っ当に仕事してるのに馬鹿みたいだ。
僕は一点の曇りもなく、真面目に真っ当な仕事をして、クリーンなお金を稼いで、そのお金でご飯を食べて生活したい。
だから例え、ギリギリの運営をせざるを得なくなったとしても必死に僕は僕の考えを貫くし、手の届く範囲だけでも環境を整備していきたいと考えています。
そんな葛藤と日々闘いながら僕は生きているけど、当店を大切に想ってくれるお客様を、僕は同じように大切にしてしっかりとそれぞれと向き合いたいのです。
感情のままに愚痴みたいなブログを書いてしまい申し訳ありませんでした…。
以後気をつけます。
最後になりますが、是非このブログをお読みいただいている方にはご自身の愛犬、愛猫を想って行動していただきたいです。
↓↓↓ 以下、主な参考ブログ ↓↓↓