ペットケアサロン BECK

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〒390-0861 長野県松本市蟻ケ崎5丁目2-3 1F

BECKからのお知らせ

「できるけどしない」という選択

うちのお店は他の同業者に比べると、(現時点では)稀有な存在だろう。

特殊とも言えるし、一部の消費者からは理解が得られないというのも確かである。

その要因の最たる理由は「できるけどしない」という選択の数々だろう。

 

他のサロンであれば

耳毛抜きや、”腹バリ”と呼ばれる腹回りの毛の処理、肉球(パット)内の毛刈りなどは大多数のサロンではトリミングコース内に標準装備であると思う。

それらを当店では意図して「しない」選択をしている。

これらは過去に当店でも標準装備として行っていたか、今では標準装備から外れているし、サービスとしての展開もしていない。

耳毛抜きにおいては、痛みが生じること、炎症を引き起こすなどの二次被害が想定される。そのため、耳孔から出ている毛をカットする、もしくは特殊な鋏を使い耳道内の毛を可能な限り処理するまではご希望であれば可能である。

腹バリにおいては、ある程度伸びてきた時には長めのバリカンで浮かせてかりある程度毛が残るようにしている。”毛”本来の役割は皮膚を保護する(守る)ことである。人間でいうところの衣服の役割をしている。その為、極力短くはしたくないし、毛を残したいと考えている。これからの季節は路面から反射する紫外線でお腹が日焼けする可能性があるからだ。

肉球(パット)内の毛の処理においては、パット内にあらゆるものが侵入するのを防ぐために毛を残すようにしている。これらも毛の役割を理解した上で意図して残すよう当店ではしている。しかし踏ん張りが利かない老犬や、3ヶ月(以上)に1回トリミングするような子に関しては、フローリングで滑ってしまう可能性があるので、可能な限り日常生活を快適に過ごせるよう刈る場合もある。

他にも数多のオプションや、ペットサービスがあるだろう。

今あるもの全てが正解だとも思わないし、どの子にも必要というものでもない。

商売として営むのであれば利益(売上)を考えるのは至極当たり前だからそこに対しては否定はしない。

だが僕は”その子”に必要でないものはオススメもしないし、売りつけることはしないというポリシーがある。

そのポリシーはある意味、誠実に”その子”に向き合っている証とも言えるだろうし、真面目に仕事をしているとも言えるかもしれない。

このポリシーに則って仕事をしていると、”正解”という形は常に相対する”その子”によって変わっていく。

そういう時に考えることはいつだってシンプルで。”その子”にとって必要か否かだ。

トリミング周期が月一の子と、3ヶ月に一度の子とでは、シャンプーの回数も、濃度も変わる。

またお散歩はどの程度行くのか、どんな汚れの種類なのなどでも変わるし、もっと言えば使用するシャンプーも使い分ける。

常に何が”必要”で”不必要”かを考え、取捨選択をし、”その子”にカスタマイズしていくのだ。

当店のようにスキンケアやストレスケアに力を入れると、その取捨選択の範囲はまた広がり難しくなる。

当店の場合は取り組んでいる(力を入れている)ことをオープンにしているので、それらを求めて当店を選んでくださるお客様もいる。

他のお店ではトリミングができなかった子、お断りされてしまった子なども少なからずいるが、当店ではできる子、できるようになった子も多い。

でもその過程には必ず「できるけどしない」という選択があった。

爪切りが嫌いな子。無理をすれば、無理を強いればできる。できてしまうんだ。人間が力で勝ることもできてしまうから。

でもそれをすれば、嫌いなまま。もしかしたらもっと嫌いになるかもしれない。

そういうふうにはしたくないし、そういう光景も見たくない。

例え、それが消費者である”飼い主様”が求めたとしても。

誠実に向き合ってる自負があるからこそ、うちのお店はこうするを貫いていきたい。

どうしても求められてしまったらお断りした上で、求めるものを提供してくれるお店を探して紹介するしかない。

勿論、当店として優先する順位は明確にある。

上記のように爪切りが嫌いな子に爪切りをするという選択もある。

極端な例を言えば、その子の生活が脅かされる、健康に害が生じる可能性があるなどだ。

簡潔にまとめると生活水準(QOL)が落ちる可能性がある時である。

その場合には切るけども、短時間で終わらせるという考えに至る。

嫌なことをする選択をしてしまったときに、その子にとって嫌なことをされている時間が短くなるようにする。

それが当店としては一つの正解の形なのだ。

“スタンダード”という言葉が似合わず、また全く当てはまらないお店だとは思っている。

一消費者の目線に立って見れば、なんとも融通が効かないし、こだわりが強くて、面倒臭いお店だろうとも思う。

俯瞰してみても世間一般的な思考から考えれば、ものすごくマイノリティなお店だ。

それでも僕はこの軸はブラすことなく貫くし、このお店をやっていて良かったと思ってる。

“このお店があって良かった”と思ってもらえるよう、今後も誠実に仕事をしていく。

(有難いことに最近そのようなお声をいただくことが多くてめちゃくちゃ嬉しいです)

これからも芯は変わることなく突き進んでいく。

 

ps.トレーナー資格取得後に”トレーニング”事業としての事務所を構える予定です。可能であれば沢村公園近辺。もし空き地とか空きテナントあれば教えてください!